林業の仕事の流れ


林業とは長い時間をかけて木を育て、木材を生産する仕事です。数十年、時に百年を超す時間の中で行われる仕事について紹介したいと思います。なお、今回紹介する流れは一般的に行われている施業の一例でしかなく、古くから守られてきた木曽の山のように全く異なった施業も多くあります。


今回紹介する施業は大まかに

1.地拵え→2.植付け→3.下刈り→4.間伐→5.皆伐

といった段階を踏んでいきます。


1.地拵え
林業関係者以外で「地拵え」という言葉を聞いたことがある人は少ないかと思います。
まず最初は植付けではなく、植付ける場所を整備することになります。
皆伐で出た枝葉などのごみを片付け、必要であれば雑草などを刈払い、植付けに必要な環境を整えます。

2.植付け
地拵えが終われば次は植付けです。
標準的な手法ではおおよそ1.8m間隔、1町歩(3000坪)あたりに3000本の苗を植えつけます。
樹種や条件によっては1町歩あたり2000本の疎植、1町歩あたり5000本の密植もあります。

3.下刈り
植付けた苗は雑草よりも伸びが遅いためあっという間に草の陰に隠れ、放っておくと枯れてしまいます。
そのため下刈りと呼ばれる草刈り作業を数年間繰り返す必要があります。
また、5年ほどたち下刈りの必要がなくなった後も林内に生えてきた雑木を伐る除伐と呼ばれる仕事を行うこともあります。

4.間伐
植付けから15~20年ほど経ったころから間伐が始まります。
間伐とはつまり木の間引きのことです。
後々に良質な木材になりそうな木を残し、劣等木を伐採していきます。
こうするととで優良木の成長を促し、太く良質な木材へと育てていきます。
この間伐を5~10年おきに数回行い、植付け時点では1町歩あたり3000本あった木を400~500本まで選別していきます。

5.皆伐これまでの手順を踏み選び抜かれた優良木たちが十分な太さまで育てばいよいよ皆伐です。
樹種にもよりますが植付けから50~100年は経っていることでしょう。
木を選んで伐採する間伐に対して皆伐は文字通りすべての木を伐採します。
長い時間と多くの手間をかけて育てた優良木たちをまとめて出荷できるため大きな収益が見込めます。
こうして伐りきった山を再び地拵え、植付けと再造林していき何十年の後、また皆伐できる日を待ちます。


これが林業の大きな流れです。無論ここで紹介しきれない様々な仕事がありますが、全体のイメージはこの5段階のサイクルになります。
林業がいかに長いスパンの仕事か少しでもイメージしていただければ幸いです。



🕐2024年07月01日  カテゴリー:林業 タグ:林業